行間を読むことを教えることができない

数日の間,博士論文の3回目の提出に追われていた.それがひと段落した後には,バランスを取るかの様に生活のタスクの消化に加えて,生活リズムが不安定化している.プレッシャーが切れるといつもすぐにだらけてしまうのはどうしたものか.今回に関しては次の締め切りまでそこまで間もないので,また安定化させるために銭湯に行って早く眠ることにしようと思う.

今日のことを書こう.前日にビールを3杯ほど飲んだこともあって,眠りの浅い中でベッドで起床.したものの,やはり布団の外に出ることもできず,背徳感と生理現象の気分の揺らぎの中でダラダラと昼過ぎまで過ごしていた.あるタイミングで体を動かしたいという欲求が高まったのでその機に乗じて立ち上がる.昨日の夜からシャワーを浴びていなかったので髪の毛が少しべたつくが,寒いシャワー室で裸になることを忌避して布団に潜り込む可能性があるので諦めてそのまま大学へ向かった.

いつもの様に生協で食事をとって大学へ向かう.前日まででそこそこ進捗していたことや,今抱えているタスクはそんなにないこともあって,粛々と画像の修正を行なっていた.1時間ほど作業をしていたら,ドイツにいる恋人から電話がかかってきたので研究室の外に出る.外の気温も寒いので電話をかける時はいつも散歩することにしている.ちょうど夕焼けが気持ちいい時間だったので,思い切って大学近くの神社の裏山を抜けていくルートに出歩く.

ドイツはその時朝の8時らしく,日本から一緒に来ている同じ部屋の女性が朝の散歩に出ている間にかけてくれたらしい.恋人や一緒に来ている人たちがすでに飛行機のチケットの手配や乗り遅れでいろいろとやらかしているらしく,その話を聞いて笑っていた.真如堂の前の喫煙所でタバコを吸って,夕焼けが綺麗だったので黒谷さんの方へ歩いて行った.浄土寺の手前で電話を別れて,そのまま北へ向かう.いつも浄土寺まで来るとホホホ座をのぞいて何も買わないで帰るのが日課なので,相変わらず今日も何も買わなかった.

結局研究室を2時間くらい空けて散歩していた様で,後1時間くらい作業をしたら帰ろうと思っていた.ちょうど作業に取りかかろうとしているタイミングで,修士の学生から修士論文の第1章と第2章が送られてくる.前日に先に第3章を送ってきていて,第1章と第2章の背景を先に送ってくれと言っておいたのは良かったのだろうと思う.第3章の論文としての体裁は結構ぐちゃぐちゃだったので,第1章と第2章もあまり期待はしていなかったが,やはり同じくらいの完成度の原稿が送られてきていた.

論文を開いて少し読んでから,すぐに指摘したのが良くなかったかもしれない.おそらくは,自分の行った作業が無駄になるかもしれないということへの拒否反応だろうと思うのだけれど,僕の意見についてあんまり耳を貸してくれない様子だった.理由を示してここはこの様に変えた方がいいと言っているのだけれど,それが伝わらない.この論文でこう書いてありましたと言って反論してくれるのは良いことだと思うのだけれど,行間を読まないとわからない様なことについて指摘した時の飲み込んでくれなさについては結構悲しくなったりもした.結局そこそこの時間がかかって論文の図の中での記述を自分で見つけて,それでようやく納得してくれた様子だった.僕も恋人からよく言われることだけれど,行間が伝わらなくて文字通りのことしかわかってくれないということは結構大変なことだと思う.それでも,最近は恋人からはできる様になってきていると行ってくれているので,修士の学生についても根気強く続ければできる様になると思うべきなのかもしれないが.