京都二日目

今は朝の8時で,しっかり目の雨が降っている.11時から寮内の用事があって,15時から研究室での作業をぼちぼちこなしたら帰ることができるようになるらしい.やらないといけないことはぼちぼち進んできていて,昨日の夜中にタテカンを描き始めたのは笑った.背景だけ作れたのであとは文字を入れておく必要があるが,午前中にそこまで着手できたらやってしまうことにしておいてもいいと思う.着手して仕舞えばそんなに大変なことでもないのではないかと思うのだけれど.

昨日のことを書いておくか.昨日は目覚ましをかけずに普通に睡眠をとっていたら,気づいたら10時くらいになっていたんではなかったか.それから,食堂に顔を出して誰もいないので,セブンで朝ごはんとコーヒーを購入したんだったっけ?寮の部屋でいくつかのタスクをこなしてから,それから研究室に向かった.途中で生協の出資金を返還してもらったので,2万円と少しの現金を入手していた.研究室で論文用の上質紙を見つけられたので,博論の本文を追加で印刷していた.写真展のフライヤーも印刷したかったのだけれど,着手する前に学部生がやってきたので諦めたのだった.ディスプレイとノートパソコンなどの物品の移動を事務の人にお願いをした.それから学生たちが入れるコーヒーを待ちながら,事務作業を少しだけこなしていたら出発する時間がきた.コーヒーは結局飲めなかった.

それから,寮に戻ってスーツに着替えて,みやこめっせに向かって早足で歩く.13時20分の受付の5分前くらいに到着したら,すでに正代表が来ていたので副代表の自分の仕事は無くなったことをこの時点で知る.あとから思えば,この時点で帰ってしまうのが正解だったが,開式の14時までの時間を荷物を置いて喫煙所を探すことにした.近くのセブンでは喫煙所はないけれど,観光客向けの座敷が置いてあって座って休憩することができたので,コーヒーときんつばを購入してすすっていた.ちょうど食べ終わったくらいでいい時間だったので,トイレに行ってから他の時間ギリギリの卒業生たちに混ざって小走りで会場に戻る.

2000人ほどのキャパのスペースがほとんど埋まりきっており,大学院生の卒業式なんてほとんど来ないのではと思っていたのが裏切られた.会場の入り口では大学生協のブースがあり,八千円ほどで学位ストールなるものが売られており,列を成して購入している人たちが印象的だった.式が始まり,いならぶ学部長と総長の顔を眺める.それぞれの研究科を代表する研究科長が並んでいるが,こうして並んでいると顔つきが典型的でおもしろい.理学研究科は黒縁まるメガネで風立ちぬの上司みたいな逆3角形の顎をしていた.経済学研究科は髪を黒染めして体育会教師のようなスポーティーなメガネをしている.転じて,エネルギー科学研究科は白髪がフサフサの身長の低いおじいちゃんであったし,情報学研究科は少しだけ若い細身の理系研究者という様子だった.卒業証書を渡していく際の,もう65歳を超えているのだろうか,総長のつくり笑顔で目を細める様子に,学者離れした政治力を感じたりした.総長の式辞は経済界の受け売りのようなことを行っていて,大学院を出たらアカデミア以外の多様な場所で活躍して欲しいみたいなことを,社会学者の研究結果をレビューしながら話していた.式は終わり,混雑を避けるために順番に退場していくために20分ほど待たされて解放された.正代表が来なかった場合の予備としてこちらに届けてあった自分の学位はもらえなかった.

卒業式に出席してしまったことに対して,ウダウダと後悔しながらも,どのように人混みを避けるかということをぼんやりと考えながら,喫煙所でタバコを吸っていた.しばらくはどの方面に向かうバスも混雑しているだろうし,元々行こうと思っていた四条烏丸キンコーズにいくのは一旦やめて,寮に戻ることにした.帰り道の途中にある岡崎のBooks Heringに寄ると.白髭まみれの店主と中年男性が歴史や科学について会話をしており,その会話をぼんやりと聞きながら本を物色していた.以前に「なぜ植物図鑑か」を読んだ,中平卓馬の「来るべき言葉のために」という写真集を見つけてしまい,この値段がちょうど生協から返還された二万円だった.マクルーハンのメディア論やメルツバウのノイズ・ウォーといった本を購入することを諦めて,その写真集を購入.店主に渡すと,これは値が張るよとか,復刻版が八千円くらいで出ると思うよなどと言われながらも,負けずに購入して店を出た.恋人に連絡したら,ちょうど欲しかった本だと言ってくれたので嬉しくなって卒業式のもやもやも忘れてしまった.

そこから帰りに吉田東通のwovenによってコーヒー豆を購入した.家には深煎りばかりがあるので,中煎りのエチオピアを購入した.フライヤーも置かせてもらえたのでありがたかった.別の写真展のフライヤーの紙が面白かったので,それを1枚拝借して家路に向かった.家に帰ってすぐにスーツを脱いで,セブンで購入したコーヒーを飲みながら少し休憩をした.

16時くらいにキンコーズに出発することにして,四条烏丸行きの35番のバスに乗り込むが,この時間でもまだ卒業生と思しきスーツと振袖の集団が乗っていて辟易したが,鮨詰めのバスでリュックが邪魔にならないように気を張っていたので大変だった.キンコーズについてからのやり取りはスムーズに進み,六千円くらいで7冊することができたので良心的だと思うなどしていた.1時間くらい待つように言われたので,Cocon烏丸の3階で精華大学のギャラリーやDDDを覗くが,DDDはちょうど休業日で中に入れなかった.Twitterで見たNFTまで含めたグラフィックの設営をやっている様子で,見られたら面白そうだったけれど断念した.百均で布団の圧縮袋を買おうと思って少し足を伸ばしてダイソーへ向かう.ダイソーのレジを並んでいる時間にいくつかの電話を受けていた.キンコーズからのものは製本が終わったことの知らせであったが,研究室の学生から今どこにいるかという連絡が来て,四条烏丸にいると答えるとプレゼントがあるから明日渡すということになった.例年であれば卒業式の後に写真撮影をやったりするので,その流れで渡そうと思っていたらしい.キンコーズで無事に論文を受け取り,その足で別の学生たちの飲み会に向かった.

店主が知り合いの地元のお店で食べ飲み放題で三千円のご飯を食べる.料理はまずまずでひたすらビールを飲み続けていたが,そこそこ気心の知れた人々ではあったので楽しかった.本ラーメン屋の店舗だったのでしめにラーメンが出てきたが,しめまで含めた値段だと考えると割と悪くないような気がするのが不思議だった.適当にイベント周辺の話をして,一部の人たちはWorldでイベントをやるのでといって抜けていき,残りの人たちは銭湯の掃除をするといっていたので,23時くらいに抜けて寮に戻っていた.寮で食堂に顔を出して荷物を預けたり,シャワーを浴びたりしながら過ごす.ふと思い立ってタテカンを描き始めたが,通り過ぎる寮生がなにやっているのといってアドバイスや手伝ってくれるのは良かった.とりあえず背景の黄色だけを塗って,一旦乾かすことにした.デザインだけ送ってくれたら作っておくよといってくれた人がいたので,もしかしたらお願いするかも知れない.